タイトル
思考系UMLモデリング即効エクササイズ
著者
渡辺 博之 (著), 芳村 美紀 (著), 桑本 茂樹 (著), 敷山 喜与彦 (著)
出版社
翔泳社
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本書は、UMLモデリングを自主勉強するための問題集になっています。13のお題が与えられ、それに対して自由にモデリングを行うと言うものです。モデリングを行うときの視点や、よくある間違えなど、解説が丁寧なので一人でモデリングの勉強をすることができます。

本書のよい点は、解説が豊富である点です。よくある間違えや、模範解答のモデルにたどり着くための考え方が詳しく載っています。

反対に悪い点は、「コンテキストが明確になっていない」点です。ほとんどのお題に言える事ですが、単に「アイスクリームをモデリングせよ」のように問題が出されているだけです。これでは、模範解答のモデルとまったく違うモデルができてしまうこともたびたびあります。

モデリングの肝は、「コンテキストの理解」にあると思っています。本書では、これを「本質を見抜く」という言葉で表しています。本書はモデリングの本質を見抜くための問題集だと思います。確かに難しいし、唖然とするようなこともありましたが、一度体験しておくとモノの本質を考える能力が発達するのではないかと思います。

特徴

本書は、『UMLモデリングの本質』を読んだことがある人向けです。問題文からモデルの構造が頭に浮かんだときに、どんなパターンが使えるかを考えると、よいモデル(模範解答に近いモデル)になります。

本書の問題文からは、「コンテキストの理解」が困難になっています。なので、「モデルの本質」を見抜くのに自分の知識をフル活用しなければなりません。たぶんそういう意味で「思考系」となっているのではないかと思います。

モデリングの肝は「コンテキストの理解」にあると、僕は考えています。モデルにはそのコンテキストにあったものを表すべきだと思っています(抽象化)。僕が師と仰ぐ人の言葉で「モデリングの視点は一つに決める」と言うものがあります。そのコンテキストの中でどのモノを基準にモデリングするかということです。

本書を読み解くためには、「モデルの本質を見抜く」、「コンテキストを理解する」、「視点を一つに定める」、「モデルパターンを適用する」の4つの基本的だが一番大切なことを実践するのがいいと思います。

本書は、今まで読んできたモデリングの本の知識を試す場になると思います。問題の中にはどうかと思う部分もありますが、やって損はないと思います。

参考

  • モデリングの本質をつかむための良書。
  • モデリングパターンを学べる秀逸書。おすすめ。
  • マーチンファウラー著:アナリシスパターンはアナリシストに必携の本です。