「ユースケース図」から「パッケージ図」までの全10個のUML図をモデリング技能認定試験のL1,L2試験に合格できる程度で紹介されています。UMLは、世界標準のモデリング表記法です。モデリングの共通言語として使われています。

本書では、下記の10個のUML図について説明しています。

  1. ユースケース図
  2. クラス図
  3. シーケンス図
  4. コラボレーション図
  5. ステートチャート図
  6. コンポーネント図
  7. 配置図
  8. オブジェクト図
  9. アクティビティ図
  10. パッケージ図

UML図以外にも簡単なオブジェクト指向の基本概念やモデリングの必要性などにも触れられています。モデリング技能認定試験の勉強本としての活用が考慮されているのか、Keyword や Step Up といった本文中に出てきた用語の解説も豊富に載っています。

本書で扱われているUMLのバージョンは1.xです。今後は、UMLの2.0が使われ始めると思います。UML2.0では、1.xよりもさらに表現力豊かになった図が使えたり、現在のUML図のいくつかが変更されていたりします。ですが、UML2.0対応の本で始めるよりも、本書のような全体図を見渡せる入門書で基礎から作っていくのが、UMLの理解のコツかと思います。

解説

ソフトウェア開発の現場では使えない

ソフトウェア開発の現場で、すべてのUMLを使う機会というのはほとんどないように思います。最低「ユースケース」、「アクティビティ図」、「クラス図」が分かっていれば、オブジェクト指向設計の話し合いにはついていけるでしょう。「シーケンス図」、「コラボレーション図」まで理解していれば、実装の段階でコーディングする前にロジックの検証が行えます。

本書はソフトウェア開発の現場では使えません。というのは、おそらく本書の目的は、UML図の読み方を学ぶことだからです。ソフトウェア開発の現場では、UMLはクラスの関係性のチェックや仕様の検証などに使われます。本書の内容だけでは、何が書いてあるのかは読み取れても、なぜこうなったのかということの理解までは至らないと思います。

基礎学力向上のための良書

ただ、本書が悪い本なのかというとそういうわけでは決してありません。UMLを使ったモデリングの Why の部分を理解する書籍はたくさんあります。そういった書籍を読み進めるための基礎知識を分かりやすく学べる本というのは、実際にはすくないように思います。本書はUMLの Why の部分を理解する書籍を読み進めるための基礎学力を育てる良い本です。

幅広くUML図を説明しているので、あまり深くまで突っ込んだ説明というのはあまりありません。むしろ、図の読み方に専念していて、非常に一貫性のあるまとまった形になっていると思います。

モデリング技能認定試験というものがあります。これは、上流工程や要求仕様とソフトウェア実装仕様との間を取り次ぐ『UML』をどれくらい使いこなせるかというのを計る試験です。本書はこの試験の L1, L2 合格程度の「UMLを読む技術」向上の試験本としても使えます。

覚書き

クラス図の関連

関連
クラス間に構造的な関係がある場合に使用します。
集約 (aggregation)
クラス間に全体-部分の関係が成り立つときに使われます。
依存
利用関係を表すときに使います。引数で参照される場合、ローカル変数として参照する場合、グローバルに参照する場合
汎化
継承関係を表すときに使われます。
コンポジション
全体-部分のうち、ライフサイクルが同じ場合に使われます。

参考

  • 本書と同類の基礎学力向上書です。
  • モデリングの Why を理解&実践するための良書 (おすすめ)
  • UMLモデリングでさらに一歩進むために (おすすめ)