タイトル
ユースケース入門―ユーザマニュアルからプログラムを作る
著者
ダグ ローゼンバーグ (著), ケンドール スコット (著), Doug Rosenberg (原著), Kendall Scott (原著), 長瀬 嘉秀 (翻訳), 今野 睦 (翻訳), テクノロジックアート (翻訳)
出版社
ピアソンエデュケーション
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本書は、ICONIXアプローチに焦点を当て、その中でロバストネス分析の方法について解説している数少ない書籍です。

ICONIXアプローチとは、ユースケースからオブジェクトモデルを導き出すアプローチのことです。ユースケースは、ユーザの視点で書かれたシステムが提供するサービスを表すものです。ユースケースを中心にモデルをおこすことで(ユースケース駆動)、要求が変化した場合にどこのモデルを変更すればよいか分かりやすくなります。

ロバストネス分析とは、ICONIXアプローチにおいて、ユーザの要求(What)をモデルの実装(How)に結びつける役割を持ちます。これにより、要求から実装、実装から要求のトレーサビリティが向上します。

本書は、あまり語られることの多くないICONIXアプローチとロバストネス分析を説明するものです。非常に本質を突いた説明がされていて、ユースケースの実用的な使い方についても学べます。

薄い本ながら(140ページ弱)、その内容の濃さは読んでみればわかるでしょう。非常にためになる良い本です。対象読者は、ユースケースについては知っているが使い方がいまいちよく分からない人、ロバストネス分析に興味がある人です。

特長

ユースケースはユーザマニュアルだ

ユースケースは、ユーザから見たシステムの機能を表します。それは、ユースケースを読めば、ユーザはシステムの使い方が分かるからです。逆に言うと、ユースケースは、読めばシステムが使えるようなものでなければならないと言うことです。

ユーザの視点からかかれるものがユースケースである、ということは、ユースケースによる設計は、ユーザの立場からシステムを作り上げていくということになります。ユースケースには、GUIの設計が含まれています。とはいっても、ユースケースにはそれがボタンなのかリストボックスなのかという、GUIの詳細は含まれていません。あくまでGUIの本質(何をするとどうなるのか)だけが書かれているべきです。

ユースケースを中心にシステムを設計していくことをユースケース駆動設計といいます。ユーザの視点でシステムを設計するため、最終的な納品物ぶれがでにくいです。いいことずくめのように聞こえるユースケース駆動設計にも、問題はあります。システムの実装に落としにくいのです。

ユースケースはいわばユーザの要求(What)です。そして、システムの実装は(How)です。このWhatとHowをつなげる役割をもつのが、ロバストネス分析なのです。

ロバストネス分析について、詳しく理解したい人は、この書籍を読むか、『ワークブック形式で学ぶUMLオブジェクトモデリング―「ユースケース駆動」でソフトウェアを開発する』がおすすめです。

特長

  • ユースケース駆動でソフトウェアを開発するには!
  • ユースケースの本質をつかむ
  • とても読みやすく、実践的