タイトル
孔子とドラッカー―ハートフル・マネジメント
著者
一条 真也 (著)
出版社
三五館
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人間通である孔子と経済通であるドラッカーの共通点を法則集という形でまとめてあるのが本書です。人としての在り方、経営者・リーダーとしての在り方、その二つをいいとこ取りしてまとめられています。

自己啓発本という位置づけにあたる本書ですが、経営者・リーダーが備えておくべき性質が満載です。もちろん、人の上に立つ人だけが読む本ではなくて、心を豊かにしたいと思う人にお薦めできる本です。

たまには、こういった本を読んで自分の中の気を高める必要があると思います。200ページくらいの薄い本ですので、さっと読めてしまいます。心が病んできたと感じたときに読んでみるといいと思います。かなりお薦めです。

孔子とドラッカー おぼえがき 目次

孔子とドラッカー おぼえがき

マネジメントとは

マネジメントとは、人に関わるものである。その機能は、人が共同して成果をあげることを可能とし、強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである。これが組織の目的だ。また、マネジメントとは、ニーズと機会の変化に応じて、組織とそこに働く者を成長させるべきものである。

「はじめに」より

無限のマネジメント おぼえがき

愛と思いやりこそがすべての基本。経営とは、人を動かすことに他ならない。人には、思いやりを持って接すること。

リーダーというものは、仁を重んじながらも、公正さと義で物事を計ることも大切である。むやみに慈愛に心を奪われてしまってはならない。

目的は何なのか?それを何のために行うのか?大義名分を持たないものは、功利に走ってしまい、失敗や災いにあう。

「礼」とはすなわち「人間尊重」のこと。人であるゆえに礼を行う。礼は「人の道」である。

吾(われ)によって汝(なんじ)を礼す。汝によって吾を礼す。

 「智」とは、知識のことではない。智慧(ちえ)のことである。智慧とは、「悟る」ということで、「それが何であるか」を感じることである。

およそ人ならば誰に対しても心の中心から、つまり誠から接しなければならない

忠は、人に尽くすもの。経営者たるもの(もちろん、経営者以外の人も)、お客様、株主、取引先、社員、社員の家族、自分の家族、自分にかかわりのある人、すべての人に忠を持って接しなければならない。

信じること。自信をもつこと。信念をもて。まず信じてみる。本物を信じ続けることは欺かれることはない。それが自分にとっての本物なのだから。確固たる信念。それが必要だ。

余の辞書に不可能という文字はない 「ナポレオンのことば」

「孝」とは、連続のことである。教えや学びを継承していくことが重要なこと。

重要なことは、会社とは血液で継承するのではないということだ。思想で継承すべきものである。創業者の精神や考え方をよく学んで理解すれば、血のつながりなどなくても後継者になりうる。

「志」は夢とは違う。夢は私、志は公。心のベクトルを公に向けることを志を立てるという。

志というのは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値するのである

途方もないくらいの大きな夢。それが本当の夢である。人間は、実現できない夢などみれないようになっている。不可能だといわれること。夢見ることでそれが実現できる。

If you can dream it, You can do it. 「ウォルト・ディズニー」

夢に期限をつければ、目標になる
「夢に期限をつければ、目標になる」。この節を読んでいて、ふと思い出しました。

企業の成功に必要な条件は3つある。1. 基本理念や志が備わっていること。2. 社員一人ひとりの豊かな個性を最大限に伸ばせる環境が用意されていること。3. 戦略や戦術を駆使すること。

事業というものは転地自然の理にしたがって行えば、必ず成功する。いいものをつくって、適正な値段で売り、売った代金はきちんと回収する。簡単に言えば、それが天地自然の理にかなった事業経営の姿である。そしてその通りにやれば、100% 成功するものだ。

「松下幸之助の言葉」

人間は、「天の気(空気)」と「地の気(食物)」を取り入れて生きている。「気」というのは、たまには充電しなければならない。良い気を体に蓄えることが、活力を生み出すのに必要なことである。

和合のマネジメント おぼえがき

組織の「和」を強めることが、企業が成功する重要なポイントである。

だが、その前提として、一人ひとりの主体性がしっかりと確立されていなければならない。それがあって、初めて本物の和が生まれてくるのである。

本当の友とは、お互いを切磋琢磨できる関係にある者のことを言う。いつも一緒にいるからといって真の友ではないし、ほとんど会えないからといって友でないわけがない。

だいたい、友人同士でいちも群れたり、つるんでいる男に一流の男はいない。本物の男とは群れないものだ。([参考] 『男の品格―気高く、そして潔く』)

敵をライバルと見立て、良いところは取り入れろ。決して敵の悪口を言うな。憎むべきは敵ではない。

「叱り」、そして「褒める」。日本電産社長の永守重信氏のしかり方のルール。1. 叱ったあとは最低でも3倍はアフターケアする。2. 叱ったことはすぐに忘れる。3. 「辞めてしまえ」、「辞めます」は絶対に言わない。(人格否定はしない)。

氏は、口でしかって文章で褒めるという。つまり、褒めちぎりの手紙を書くのだ。叱ったことは後に残さず、褒めたことはいつまでも残るようにしておく。(中略)本人にストレートに褒め言葉をかけるよりも、妻や親、同僚などを通じて間接的に褒めるほうが数倍の効果があるのだ。

「徳」は「得」である。陰徳を積むとは、心を貯金すること。徳は、知識や技術ではない。

人を見抜く。1. 人相をみる。2. 出処進退の退をみる。3. 言葉のやり取り 、態度をみる。4. 徳の人であるかをみる。

人の上に立つ者は、自分の経験の範囲内で処理するのではなく、常に聖賢(せいけん)の智慧(ちえ)に耳を傾け、自己研鑽(じこけんさん)することが大切なのだ。

「何を語るか」ではない。「誰が語るか」である。リーダーが言ってはいけない言葉には4つある。

  1. 詖辞(ひじ): 自分の都合のよい理屈
  2. 淫辞(いんじ): 理屈をつけて押し通そうとすること
  3. 邪辞(じゃじ): よこしまな言葉
  4. 遁辞(とんじ): 逃げ口

では、リーダーは何を語ればよいのか?それは、真実である。その言葉には、1. 意義 2. 価値観 3. 首尾一貫性 4. メリハリ が含まれていなければならない。

耳を傾けて聞くこと。リーダーは、「意見(異見)」や「諫言(かんげん)」を聞かなければならない。

諫言者は、戦場の一番槍よりもむずかしい。その後の人間関係がどうもギクシャクする。正しいことを言ったのだが、言ったほうが疑心暗鬼になり、主人からにらまれたのではないか、と思うようになる。だから、そういうことを承知のうえで直言する真の諫言者は、一番槍以上の功労者である。

「徳川家康の言葉」

「縁」を切ったら人は生きてはいけない。

小才は縁に出会って縁に気づかず、中才は縁に出会って縁を生かさず、大才は袖擦りあうも多少の縁 「前野徹の言葉」

私たちが絶望しても、なおも私たちが人生に何を期待できるのかではなく、反対に、人生が私たちに何を期待しているのかが問われる(中略)つまるところ、人生とは、人生の意味を問う問題に正しく答えることに他ならない。

組織のリーダーには、「運」が必要。運とは、軍を進める力であり、戦いの中で手にするもの。

運をつかむには努力が必要であり、人の倍、10倍、あるいは100倍もの努力をして勝ち取るものこそ運なのだ。

「運」と「信」
運を信じることは、「信」に通じるのかも知れないと思いました。自分には運がある、自分には運が備わっているという信念、それを信じれるだけの努力をした時に、本当の運が身に付くのかなと思います。

ドラッカー曰く、「汝の時間を知れ」。1. 何に時間をとられているのかを明らかにする。2. 時間を奪う不要な作業を明らかにし、それを排除する。3. 自由な時間をまとめる。

時間管理のマトリックス
7つの習慣―成功には原則があった!』 の一つの習慣に、「重要事項を優先する」というものがあります。時間管理は、4つのマトリックスに分けられるというのです。

   緊急  緊急でない
 ┌――――┬――――┐
重│    │    │
要│第一領域│第二領域│
 │    │    │
重├――――+――――┤
要│    │    │
で│第三領域│第四領域│
な│    │    │
い└――――┴――――┘

マトリックスの 「第二領域」 に集中することが、効果的な自己管理の目的だと述べています。

天心のマネジメント おぼえがき

「喜」 とは、人へのサービスのことであり、人に喜んでもらいたいという気持ちのことである。

人間が苦労に耐えながら追求する喜びは、必ず正義でなければならないし、他人の犠牲を必要としてはならないし、同時に他人の喜びに通じるものでありたい。自分の喜びを追及する行為が、他人の幸福への奉仕につながるものでありたい

「本田宗一郎の言葉」

「謝罪」。自分に非がある場合は、徹底的に責任を取る姿勢を示す必要がある。誠心誠意を持って謝ること。

「感謝」。謙虚であれ。すべてのことに感謝の心をもつ。感謝すべき出来事がおこるまえに、感謝してしまえ。

「顧客満足」。では、顧客とは誰か?

顧客は誰かの問いこそ、企業の目的と氏名を定義する上で、最初に考えるべきもっとも重要な問いである。

満足とは何か?

何を価値とするかは、顧客だけが答えられる複雑な問題である。推察してはならない。顧客のところへ出かけて行き、聞かなければならない。

「我々が何を売りたいか」 ではなく、「顧客は何を書いたいか」。

「勇」 とは、正しいことをするということ。勇気とは、正しい行いを選択すること。たとえ窮地にいたとしてもそこを踏ん張って正しいほうを選択する。経営者はぼやいてはいけない。正直でなければならない。正しい判断を選択する勇気をもつこと。

リーダーは勇将にならなければならない。勇将の下に弱卒なしは、人類普遍の真理なのである。

「命」 とはミッションのことであり、使命であり、それがある意味である。企業はミッションを持たなければならない。言い換えると、企業はその存在意義を明確にしなければならない。

言うは易し、行うは難し
この節を読んで、ぱっと頭に浮かんだのは、「言うは易し、行うは難し」 という言葉です。ミッションが大事、ミッションを掲げろとよく聞くのですが、そのミッションを遂行するのって、難しいよなぁと思いました。

参考