タイトル
失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する
著者
中尾 政之 (著)
出版社
森北出版株式会社
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本書は、過去いろいろな原因が元で失敗した事例を178とりあげ、失敗の原因を41個にまとめあげたものです。「人は誰でも同じような失敗を犯す。」その原因は実はたったの41個に分類できるのです。

親はいつも「道を飛び出したら危ない」と子供を注意する。上司は「今はあのときの景気の潮目と似ている」と部下に警告する。なぜならば、注意する自分も同じような失敗をしたからである。それならば、その「同じような」「あの時と似ている」という失敗を列記して分類できないだろうか。分類された失敗群を暗記できれば、失敗予知能力が高まるはずである。

本書 まえがき

失敗は買ってでも学べ。大先輩にこう言われたことがあります。失敗は起きないと学べない。でも、自分で失敗するのはマイナスになる。だから、人の失敗を見て自分は学べ。というのです。

本書は、過去に起こった178の失敗事例を元に、たったこんな間違いが大きな事故につながったということを説明しています。その原因は41種類に分類され、今後私たちが生活していくうえで必要な予防策になってくれるはずです。

本書は、コンピュータに関する本ではありません。単純なビジネス書というのとも違うと感じました。どちらかといえば工学系の事例が多いです。失敗の大切さを理解している人におすすめです。

特徴

過去起こった失敗は、41個の原因のどれかが元で引き起こされているという話です。本書は、別に41個に分類できたからすごいというような話ではなく、失敗は元をただせば同じような原因で起こっているというのを伝えようとしているのです。

例えば、「技術的な要因だが、普通は副次的に考えている使用時の設計要因 [冗長系の非動作] 待機系不良」 に挙げられている事象『東証の株式売買システムが稼動せず (1997)』 では、株の銘柄を注文取消しするプログラムにバグがあり、システムが止まってしまった。バックアップ用の予備機に切り替わったが同じプログラムを使っていたため、予備機のシステムも止まってしまったということが起こった。

このような待機系不良が原因で起こった失敗というのはかなり多いのではないでしょうか。この失敗から学べることは、正常系と予備系で同じ環境のマシンを用意しておくことは間違いなのかもしれないということです。もちろん、この予備機が正常系マシンが物理的に壊れてしまった場合に取り替えられることを意識していたのなら、同じ環境を用意することは当然正しいです。

このように、過去に起こった失敗から学べることは、非常に多いと思います。何が悪かったのか。何をどうすればよかったのか。こう考えることも出来たのではないか。こういうことが起こったらどうしようか。等

失敗から学べることは、とても多く、とても貴重な経験になります。人は失敗を犯すものなのです。

参考

  • 失敗学のすすめ。文庫本
  • 失敗学のすすめ。
  • 経営における失敗学を学ぶ本
  • 失敗をいかにして学ぶか