「ソフトウェアエンジニアリング」を一言で言えと言われたら、ソフトウェア開発を定量的に見積り、計画によって管理していく学問だと答えるでしょう。ソフトウェアエンジニアリングは学問に近いところにあると私は考えています。
本書は、ソフトウェアエンジニアリング(つまり、ソフトウェア工学)をオブジェクト指向の視点で整理して解説した本です。オブジェクト指向というと、プログラミング、分析・設計、UMLが現在の代名詞となっています。本書はもっと大きな視点で、オブジェクト指向開発と言うものをとらえた本になっています。
分厚くて、教科書的で、理論と実践が織り交ざっています。教科書として使える本なので、学問的ですが、実践で使える手法や手段も載っています。技術者として経験を積んできたころに読むと一層効果的だと思います。
特徴
ソフトウェアエンジニアリングというと、プロセスやプロダクトに焦点をあてているものが多くあります。しかし、人間系がおろそかにされている本が多いのも事実です。本書は、人間系もカバーしていて、実際のソフトウェア開発で使えるものに仕上がっています。
監訳者の羽生田さんもまえがきで言っている様に「ソフトウェアエンジニアリングの4つのP」が分かっている人は、ソフトウェア開発のことが良く分かっていると思えるということです。「Validation(妥当性検査)とVerification(検証)の違い」のような概念も本書では重要視されています。
ソフトウェア開発にたずさわっている人でも、ソフトウェアエンジニアリングのことを良く知らないという人は多いと思います。本書で体系的なソフトウェアエンジニアリングを勉強してみるのはいかがですか?
参考
- ソフトウェア開発に必須の「要求」を聞く力
- 読んで損はない。ソフトウェア工学の実践知識
- ソフトウェア開発の実装に視点を置いた本