タイトル
SOAP/UDDI/WSDL Webサービス技術基礎と実践 徹底解説
著者
日本ユニテックDigital Xpress編集部 (著)
出版社
技術評論社
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「ビジネスサービスを動的に発見・接続できるようにする」という、Webサービスの目的。そこで使われる技術というのは、実際にはそれほど新しいものではありません。Webサービスは、既存の技術(例えばXMLやSOAP)の組み合わせによる新しい発想と壮大な思想から生まれたある技術仕様です。

本書は、「サービスの動的発見・接続」を可能にする『SOAP』、『WSDL』、『UDDI』という基本仕様についての解説書になっています。Webサービスは発展途上の技術であるため、さまざまな仕様が検討されています。トランザクションに関するものから、セキュリティに関するものまでいくつかあります、が本書では扱っていません。

『SOAP』、『WSDL』、『UDDI』の基本仕様とXMLの概要説明、Webサービスを .Net と Java で構築するというのが本書のテーマです。手っ取り早くWebサービスを構築したいという人には本書は向かないかもしれません。本書のターゲットは、Webサービスの基本技術をしっかりと学びたいという人向けです。

解説

本書では、Webサービスという言葉を以下のように定義しています。

「Webサービスとは、オープンな技術を使って記述、呼び出し、公開、発見が可能な、ネットワーク上に存在するソフトウェア部品のこと」

XMLやHTTPといった既存技術を使ってサービスの呼び出し、公開、発見を可能にしようというのがWebサービスの目指すところです。その中でも、オープンな技術(標準仕様)を使うというのがポイントで、ベンダー固有の技術やプロトコルを使用しないので同じ方法でサービスを利用することが出来ます。

SOA(サービス指向アーキテクチャ)という考え方があります。これまでのシステム構築を『アプリケーション』単位から『サービス』という単位で行い、サービスの組み合わせでもってシステムを考えようというものです。WebサービスはこのSOAの一端を担っている技術です。

Webサービスという言葉は、少し中に浮いた感じをうけます。自分の言葉でWebサービスを説明できるようになるには、基礎的な知識が必須だとおもいます。本書は、基礎技術の詳細にこだわって解説しています。技術が生まれた背景にも触れているので、理解が早いと思います。

少し技術的要素が強いので、プログラミング初心者には難しいところがあるかもしれません。が、Webサービスについてしっかりと学びたい人には本書はおすすめです。

本書の対象読者

  • Webサービスの基礎技術をしっかりと学びたい人
  • SOAP、WSDL、UDDIの技術背景を知りたい人
  • Webサービスを学びたいがどの本からはじめたらよいのか分からないひと

ひとりごと

Webサービスはまだまだ発展途上の技術であるため、この先どうなってくるのかは実際にはわかりません。インターネットを通してビジネスを行うというのは、まだまだセキュリティ的にもどうかという考えもありますし、ビジネスにはトランザクションが必須です。この辺りのインフラが整ってWebサービスの真価を発揮してくれると、ビジネスの幅は広がるのではないかと思っています。

CORBAや分散オブジェクト技術(RMIやDCOM)ももてはやされた割には、あまり使えない技術だったようです。しかし、技術が使えなかったというよりはむしろ、そのような考え方にビジネスのあり方がついてこなかったというのが正しいような気がします。Webサービスも分散技術であり、まだビジネス的に使われているのはごく一部というのが現状です。

技術者は、新しい技術に希望や夢を抱きます。「どんなことが出来るのだろうか?」と。しかし、経営者は新しいことをするのに、戸惑いや躊躇をいだくのではないでしょうか。まず、技術がありビジネスがついて来るといった今の世の中の流れでは、捨てられる技術が多いのもうなずけるような気がします。

Webサービスが、そうならないことを期待しています。(・・・本の紹介とまったく関係ないな (^^;

参考

  • もっとやさしくWebサービスを始めたい人には本書をどうぞ。

  • 図をベースに解説してくれる、非常に丁寧な解説書です。おすすめ

  • オライリーからもWebサービスの解説書が出ています。濃いです。