タイトル
アジャイルモデリング―XPと統一プロセスを補完するプラクティス
著者
スコット・W・アンブラー (著), 株式会社オージス総研 (翻訳)
出版社
翔泳社
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アジャイルモデリングとは何か −

アジャイルモデリング(AM)とは、効果的なモデラーになるための秘訣を説明した、プラクティスに基づくプロセスです。モデリングなんてしないという極端な状況では、ソフトウェアが十分に考えられずに作成されたことに気づいたときには、膨大な再作業が発生することがあります。もう一方の極端は、過剰にモデルや文章が作成されると言う場合で、カタツムリのようにソフトウェア開発の進行が遅れることがしばしばです。AM は、そのような両極端の間で、開発対象のシステムを効果的に検討したり、文章家するために十分なレベルで、かつプロジェクトの開発を遅らせるような重荷にならない程度で、程よくモデリングを行うためのやり方を探すお手伝いをします

本書はじめにより

今までのプロジェクトを振り返って、モデリングがなされなかったプロジェクトはいくつありましたか?ドキュメント地獄で、実行可能なコードを書く時間がまったく無かったプロジェクトはいくつありましたか?本書は「アジャイルモデリング」という、モデリングの方法を解説します。

本書では、モデルの表記法(ノーテーション)には触れていません。UMLを使ってもいいし、OMTを使ってもかまいません。また、開発プロセスに関しても、アジャイル開発プロセス(XP、 Scrum、FDDなど)に適用すれば効果的ですが、開発プロセスの限定はしていません。

本書は、確かにためにはなるし、勉強になります。ただ、そんなことよりも読んでいてワクワクする気持ちのほうが強かったです。読み終わった後、何かしたい衝動に駆られること間違いなしです。

アジャイルモデリングの原則、プラクティス、実践、実際に開発プロセスに適用した場合のケーススタディ。本書は、アジャイルモデリングを余すところ無く解説しています。開発者だけでなく、プロジェクトマネージャーにも是非読んで欲しい一冊です。非常に良い本です。かなりおすすめです。

特徴

アジャイルモデリング (AM) と聞いて、最初に頭に思い浮かぶのが「モデリング技法」なのか?と言うことでした。UMLを用いたモデリング技術に関することが述べられていると思って購入しましたが、実はそういうものではありませんでした。

本書は、モデリング技術(技法)に関してはまったく触れていません。どういうことが書いてあるかというと、大体つぎのような感じです。

  • アジャイルの原則の説明(考え方)
  • アジャイルプラクティスの説明(考え方) + 実践方法
  • 実際の現場でアジャイルモデリングを行うためにはどうすればよいか
  • 開発プロセス(XP、統一プロセス(UP)) に適用した場合の位置づけ

実際のモデルやコードが出てくるわけではないので、雲をつかむような話に感じてしまいがちですが、そうではありませんでした。アジャイルモデリングと言うのは、非常に「現場指向」になっているからです。人のつながりを重要視し、複雑なものより簡潔さを好み、変更があることを前提に楽しみます。

概念や考え方を解説した本でありながら、現場ですぐにでも使えるというところがとても印象的です。いつまでもCASEツールを使って不要なモデルを書くよりも、ホワイトボードに集まってみんなで検証しながらモデリングしたほうがずっと効果的です。本書はこういった点に気づかせてくれます。

2度、3度と読めてしまうほど、分かりやすくかかれています。非常におすすめの本です。 開発者のバイブルとなるでしょう。Be Agile!

参考

  • アジャイル開発プロセスを学びたい人におすすめ
  • プロジェクトマネージャーに特におすすめしたい一冊